専門医によるリウマチ治療 Q&A

初期症状、発症予防、早期治療、リウマチ治療中の妊娠
薬剤副作用、感染症予防 MTX、生物学的製剤 ほか

リウマチ治療 Q&A

質問

リウマチ専門医にずっと通院していますが、じわじわと変形が進んでいるようです。CRPが低い(0.5以下)ので、先生からは良くなってよかったねと言われている。しかし自分としてはまだかなり痛みがあり生活に支障が大きい。血液検査の数字が低いので、あなたはこれだけ良くなれば十分だと言われてしまい、それ以上の治療をしてもらえないのですが。

答え

旧来のリウマチの治療レベルではCRPが0.5以下であれば上出来という感覚があり、いまだにそれで満足してしまうケースも多いようです。

私たちは痛み・腫れをほぼゼロにすること(すなわち臨床的寛解)がリウマチ医としての使命と考えています。

CRPが正常範囲でも炎症性の痛みや腫れが続く限り、治療が不十分だと考えます。

実際、CRPが正常範囲でもMTXや生物学的製剤を投与または増量することでさらによくなったケースはいくらでもみられます。逆に、数字がひどく高い割にあまり痛がらない人なども、ときにみられます。

血液データはあくまでも目安に過ぎないことを忘れてはいけません。

質問

ステロイド剤で何とか痛みは治まっているが、このまま続けると副作用が心配です。最近顔に脂肪がついて丸くなってきたのですが。

答え

MTXや生物学的製剤がリウマチ治療の基本なのは間違いありません。

ステロイドはMTXや生物学的製剤が効いてくるまでのつなぎとしての投与が基本になります。

しかし、炎症の急性期にはステロイドの力も借りなければ、スムーズな治療がおこなえません。

特にケナコルトの関節注射は速効性があるので非常に重要です。感染にさえ気を付ければ、内服のプレドニンよりも全身的副作用が大幅に抑えられます。

プレドニン内服1日5mgでも少量といわれますが、長期的にはさまざまな副作用を全身の臓器に及ぼします。私たちは完全中止または1日2-3mg以内を目標に治療しています。できれば調子が悪い時だけの屯服にしたいものです。

5-10mg程度のプレドニンを数年以上使用された患者さんは、眼には見えなくても、全身の臓器・組織の毛細血管の老化(動脈硬化)・骨粗鬆症が進んでいます。

質問

MTX(=メトトレキサート、リウマトレックスなど)が効いてはいるが、まだ痛み・腫れが残っており、年々、少しずつ変形が進んでいるようだ。

答え

ごく軽症のリウマチを除いてMTX8mg(1週間にリウマトレックス4カプセル)以下の量で、寛解を達成することは難しいというのが我々の得た結論です。私たちの投与経験(数千名)からいうと、日本人でもおよそ40-50%の患者さんは10mg以上のMTXを必要とします。

質問

少しでも良くなりたいので、エンブレル・レミケード・ヒュミラ・アクテムラ(生物学的製剤)などの最新の注射薬を使ってみたいと主治医の先生に相談してみたところ、まだあなたには必要がないと言われてしまい使ってもらえないのですが。

答え

日本で保険適応になったのは、レミケード2003年(米国1999年)がやエンブレルが2005年(米国1998年)です。欧米では日本に先立ってすでに、4-7年間広く使用されてきました。すでにその時点で、その安全性と目覚しい効果が実証されているわけです。

私達、自由が丘整形外科の医師たちもこの2つの薬を使用してみて、使えば使うほど、副作用が少なく、よく効く良い薬だという実感を深めました。もちろん最初は誰しも、使用経験がないわけですから、慎重になるのはわかります。治験の結果と全世界での実績を信じて使用するしかありません。

私達は合計900名以上のかたにこれら生物製剤を投与してきました。医師・看護師はおそらく日本1-2の経験と知識を持っていると思います。安全管理・感染症予防対策も徹底しておこなっています。その間、どんな患者さんがどんな反応を示すのか、どんな人に効きやすいか、患者さんが教えてくれるさまざまな変化、反応、副作用(かゆみ程度の軽いものから、重篤なカリニ肺炎まで)を毎日のように経験しています。その結果、現在ではこれらの薬のいろいろな癖を知り、使用に習熟していると同時に、MTXと同様これらの薬を信頼するようになりました。同時にどのような使用法が危険かも熟知しています。

ですから、日本の他のリウマチ専門医と比較し、私がこれらの薬剤を投与するしきいはかなり低くなっています。

これは、欧米でのリウマチ治療のトレンドとまったく同様の流れになっています。その最大の理由は私のみるリウマチ患者さんには全員に良くなってもらいたいという思いからです。これらの薬剤を多く使用することで保険で査定されるリスクなどもあり、私の収益にはたいしてなりません。

しかし、今までほかのところで治療しても良くならなかったのに、<自由が丘整形外科で治療して本当に良くなったと、毎回言ってもらえる患者さんの笑顔より素晴らしい報酬がほかにあるでしょうか?

質問

生物学的製剤をすすめられているが、一度始めると一生続けないといけないのではないかと思うのでためらっています。また、その費用がかさんでくるのが心配です。

答え

世界的なリウマチ治療のトレンドと同様、私たちが生物学的製剤を開始するタイミングは以前と比較して、かなりはやくなっています。

早期からMTXと併用したほうが、治療期間や投与量も少なく済み寛解率、完治率(ドラッグフリー寛解率)があがることが明白になってきたからです。

自由が丘整形外科では、エンブレルであれば1アンプル(=25mg)週1回から開始し、効果不十分であれば、週2回に増量します。日本人の場合、MTXを十分な量使っていれば8割のかたは週1回25mgの投与でよくなることが私達の経験でわかってきたことです。

病気の勢いが強い方の場合、50mgに増量します。エンブレルは50mg以上の増量は認められていないので、まだ症状が残る場合には、MTXの増量の余地があれば増量し、それでも足りなければステロイド(プレドニゾロン)で補うしかありません。

レミケードの場合、体重あたり3mg/kg (=ほとんどの場合2バイアル)を8週おきに投与しますが、効果不十分な場合、間隔を縮めるか、3-4バイアルに増やす(最大10mg/kg)のが普通です。ただ、この量だと医療費がかなり高額になるのが問題点です。(高額医療費助成による返還は適応可能ですが。)

質問

MTX(=メトトレキサート、リウマトレックスなど)を始めたのだが、服用した日に気持ち悪くなってもどしそうになった。強い薬と聞いていたので怖くなり止めてしまった。

先生に相談してみたところ、やはりあなたには合わないようだと言われ、中止することになった。>代わりに副作用の少ない軽めの薬を使っているが、その後リウマチはどんどん悪化しているようだ。

MTX(=メトトレキサート、リウマトレックスなど)を使い始めたところ、4週間後の血液検査で肝機能の数字が上がっていると言われ中止した。やはりリウマチは悪化している。

答え

MTXを使うときは最初から必ず葉酸を併用することを強く推奨しています。

葉酸というビタミンは健康な人でも欠乏状態にあることが多く、そこに、MTXが投与されると高率に胃腸障害・肝機能障害が起きてきます。一度気持ち悪くなってしまうと、患者さんはやっぱり強い薬なんだという強い恐怖感をもってしまい、それきり止めてしまうことも多くなります。

MTXは他の飲み薬とくらべてダントツに効果の高い薬です。

MTXを使うことをあきらめてしまうと、リウマチが治るチャンスを奪ってしまうことになりまかねません。

本院では、MTX開始前にもあらかじめ葉酸を投与します。

質問

MTXを使っていてよく効いていたのだが、空咳が続くので、胸のレントゲンを撮ってみた。異常はなかったが間質性肺炎の危険があるということで中止になってしまった。

答え

MTXの副作用はいろいろありますが、これを説明するキーワードは粘膜障害です。胃腸障害、口内炎、口唇炎、腟粘膜からの出血など多くの副作用はこれで説明がつきます。のど(咽頭や喉頭)もごたぶんにもれず表面は粘膜ですから、ものが飲み込みにくいとか、いがいがする、空咳などの訴えは始終みられます。

すぐに、肺炎かと大慌てせず、胸のレントゲンや血液検査から肺炎の可能性が低ければ、葉酸を投与していなければ追加、また症状がひどくなければ対症療法で経過をみるべきです。

質問

手のこわばりと軽いむくみがあり、調べてみたところ抗CCP抗体が高かった。早期治療が重要だといわれ、弱めの抗リウマチ剤を毎日1錠飲んでおり、3ヶ月経つ。しかし効いた感じはなく痛みが続いています。

答え

少数の例外を除き、抗CCP抗体やリウマチ因子の高いリウマチではMTXを第一選択薬とすることが世界的な標準治療になっています。

質問

リウマチの発症を防ぐ方法は何かあるのでしょうか?

答え

発症の原因の60%以上が遺伝子でプログラムされており、ウイルス感染やストレスなどの環境因子は発症のきっかけになるのに過ぎないというのが定説で、いままで、発症を防ぐ方法はないとされていました。 しかし、最近になり、くすりで発症予防ができる有力な証拠が発表されました。

オランダ、ライデン大学のH.Dongenらの画期的な臨床研究により、ほんとうに症状がではじめの段階で、MTXをがっちり投与してしまえば小さいうちに病気の火を消して高率にリウマチの発症を抑えることが可能なことが明らかになったのです。→ 研究の要約はここをクリック

ただし、この早期MTX投与は軽いリウマチっぽい症状のある人全員に行うわけではありません。本当のリウマチに進行する見込みの高い人を判別して投与する必要があるのです。

今まではこれを判別する良い方法がなかったため、実は放っておいても自然に良くなってしまうようなタイプのひとや、変形が進むような本当のリウマチには進まない人にまで、余計な治療を与えてしまう恐れがあったため、なかなか本当の早期治療に踏み切るのには難しい面があったわけです。

今までのリウマチ因子検査よりはるかに鋭敏に、正確にリウマチの発症を予測できる血液検査がCCP抗体 という検査です。

現在は、保険で700円程度(3割負担の場合)でできるようになりました。まだ調べていないかたは是非調べてみることをおすすめします。もし、CCP抗体が陽性であれば、診断基準をみたさなくても、まだリウマチの症状が軽いうちに、MTXを開始しはやめに病気の火を消してしまうのが、現在の私達、自由が丘整形外科の方針になっています。

日本では残念ながらCCP抗体陽性と出ても、まだ診断基準を満たさないのでなどの理由で「もっと悪くなるまで待ってください」と言われることが多いのです。そのうえ、この研究で使われている、MTXの投与量は、開始量が15mg/週 最大30mg/週まで増量というものですから、自由が丘整形外科のように、10mg~28mgのMTXを常時使用し、その使用に習熟している医師でなければ日本で実行するのはまだ難しいと思われます。

質問

もうリウマチの症状が落ち着いて何年も通っているのに、薬はいつも4週間分しか出してもらえない。ずっと落ち着いてあまり変化はないのに血液検査も毎月あるのですが。

答え

自由が丘整形外科では、完治という第1目標についで、寛解といって、通院は必要なものの、リウマチの患者さんがまったく健康な人とほとんど変わりのない生活が送れることを、第2の目標にしています。ここでは、安全で負担にならない通院頻度としてリウマチの安定期の場合、1.5ヶ月から3ヶ月に1回の通院頻度、採血は2~4ヶ月に1回が標準です。

途中で風邪症状などの訴えがあった場合には、適宜追加します。患者さんが薬の性質などをよく理解しているので、まったく事故などなく来ています。他院に比べて、倍以上のMTX量を処方しながらもこういうことが可能なのです。

自由が丘整形外科では、患者さんの苦痛を最小限にすることを最優先にしています。なんといっても血液検査は痛いですから!私自身、痛いことが大嫌いなので、人にだけ痛い思いをさせるのは胸が痛みます。

質問

仕事が忙しく、たびたび通院するのは負担なのですが、適正な通院間隔はどのくらいなのでしょうか?

答え

薬剤の副作用や合併症を安全に管理できて、負担にならない本院での通院頻度の標準は、リウマチ安定期の場合、1ヶ月から3ヶ月に1回の通院、採血は2~4ヶ月に1回というところです。

途中で風邪症状などの訴えがあった場合には、こじらせて肺炎になるのがこわいので、遠慮なくはやめに受診してもらいます。

質問

リウマチの治療ですが、子供をつくるのは可能でしょうか?

答え

以下の基準を参考にします。

米国食品医薬品局の基準

非ステロイド系消炎鎮痛剤(ロキソニン・ボルタレン・モービックなど)・・・C (危険性を否定できない)

MTX(リウマトレックス・メトトレキサート)・・・X (禁忌)

プレドニン など副腎皮質ステロイド剤・・・C (危険性を否定できない)

注射生物製剤(レミケード・エンブレル)・・・B (ほぼ安全)

●NSAIDS(非ステロイド性抗炎症薬)

催奇形性の心配はほぼありませんが、特に妊娠後期(6ヶ月以後)に大量に服用すると分娩開始の遅れ、動脈管の早期閉鎖、胎児黄疸、脳障害などの恐れがある。

妊娠中の解熱・鎮痛薬の服用は、出来るだけ控えるようにします。

妊娠初期に数回頓服する程度でしたら、それほど心配いりません。授乳中は常用量でしたら問題ありません。

●MTX

明らかな催奇形性がありますが、中止後3ヶ月間避妊期間をおけば、妊娠に影響ありません。授乳中も使用できません。

●プレドニン

今までは妊娠時のリウマチコントロール基本薬剤と考えられていました。

基本的に問題ないとされていますが、動物実験で、催奇形性の可能性が報告されています。

また、血圧上昇、むくみ、高脂血症、骨粗鬆症などの副作用があります。これらステロイドの副作用は、妊娠中毒症など妊娠時

特有の合併症と合致しており、その危険性を助長する可能性があるのではないかと当然予測されます。

●エンブレル・レミケード

これまで、世界中の使用実績で流産・異常出産(奇形)が増えたとの報告はありません。

100%の保障はありませんが、ほぼ安全な薬剤と考えています。

質問

MTX(リウマトレックスとメトトレキサート)の違いは何ですか?

答え

リウマトレックスはカプセルなので、錠剤のメトトレキサートに比べて人によっては、胃腸で吸収される割合が悪くなり、その分、効果が悪くなるケースが時に見られます。

そのため、本院では、ほとんどの患者さんで錠剤のメトトレキサートに統一しています。また一方で、メトトレキサートだと胃腸障害がでやすいので、リウマトレックスを希望される患者さんもたまにいらっしゃいます。

●MTXの比較

薬代は、ジェネリックのメトトレキサートのほうがやや安価になっています。

昔からある抗がん剤の錠剤:メトトレキセート(一錠 2.5mgになるこ以外は同じもの。まぎわらしいですね。)ですと、薬価がぐっと安くなるのです。最近では、MTXの使用に慣れた患者さんには瓶入りのこの製剤を処方しています。

MTXの種類 製薬会社 形状 腸管の吸収 1錠あたり含有量
1錠あたり薬価
メトトレキセート ファイザー 錠剤 吸収が速い 一錠 2.5mg/43.8円
リウマトレックス 武田 ワイス カプセル 吸収がやや遅い 一錠 2mg/344.3円
メトトレキサート・
メトレート
田辺・参天 錠剤 吸収がはやい 一錠
2mg/198.5円(武)
一錠
2mg/230円(参)
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